ソフト食とは?メリットやデメリットと作り方のポイントを解説
加齢によって噛む力が衰えてしまった高齢者が食事で抱えやすい悩みといえば、硬くて食べられない問題です。
そこで「ソフト食」に注目してみましょう。
ソフト食に興味がある方のために、そもそもどのような食事なのか、考えられるメリット・デメリットは何かについて解説します。
この記事を読むことでソフト食の概要や作る際におさえておくべきことなどがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ソフト食とは?
ソフト食とは、柔らかく調理された食事のことで、軟食」「軟菜食」と呼ばれることもあります。
噛む力が低下したために硬いものを十分噛めない高齢者や、飲み込みにくい方に向いています。
とても柔らかくなっているので、箸などで簡単に切れるほか、歯がない方でも歯茎や舌と上あごを使って押しつぶして食べられるのが特徴です。
噛む力が低下していて通常の食事は食べにくいものの、ミキサー食にするほどではないようなケースに向いています。
【関連記事】ミキサー食とは?ミキサー食を作る際のポイントや注意点を解説
ミキサー食やきざみ食との違い
噛む力が低下している高齢者に適した調理方法として、ほかにも、ミキサー食やきざみ食があります。
ミキサー食とは、食材を調理してミキサーにかけてペースト状にしたものです。
全く噛むことなくの見込める、誤嚥のリスクが少ないといったメリットがある一方で、見た目が悪くて食欲が湧かない、ペースト状になっているためどのような具材が使われているのかわからないなどのデメリットがあります。
また、食品や食材を細かく刻んでつくるきざみ食は、細かく刻むことで食べやすくはしますが、必ずしもソフト食のように食材を柔らかく調理するものではありません。
食材の食感を楽しみたい方にとってはメリットが大きいですが、食材によっては硬いものもあることに加え、唾液量が少ない方だと口の中で食べ物がばらけてしまい、それを飲み込んだ時に誤嚥のリスクがあります。
一方、ソフト食はミキサーを使うことなく柔らかく調理したものや、ミキサーにかけてから固め直して柔らかく仕上げているのが特徴です。
食事の原形が残っているため、見た目でも楽しめます。
ミキサー食と比べると飲み込む力が求められますが、口の中で食べ物がまとまりやすいことからきざみ食と比較して誤嚥を抑えられるのが特徴です。
【関連記事】きざみ食とは?メリットやデメリットと作り方のポイントを解説
ソフト食のメリット
ソフト食を選択する主なメリットといえば、見た目がよいこと、高齢者でも飲み込みやすいことの2つです。
それぞれ解説します。
メリット①見た目がよい
特にミキサー食と比較した場合に見た目がよいメリットがあります。
ミキサー食の場合は、ミキサーにかける以上、どうしてもドロドロとした見た目になってしまうため、なかなか食欲が湧かない方も少なくありません。
味がおいしくてもどのような食材が使われているのかわからず、食べる気持ちになれないといった方もいます。
一方、ソフト食はあくまで柔らかく調理したものであり、ミキサーを使うことは必須ではありません。
使った場合もその後、形を作るために固めることになるので、見た目を工夫しやすいのが特徴です。
通常食とほぼ見た目が変わらない状態にすることもできます。
メリット②飲み込みやすい
柔らかく、飲み込みやすいことから、誤嚥を防ぐ効果が期待できます。
これは、食材がとても柔らかくなっているため口の中でひとまとまりにしやすく、飲み込みやすいからです。
誤嚥性肺炎は高齢者の死亡原因の中でも数が多いため、噛む力や飲み込む力が弱まった方が安全に食事を取るためにも誤嚥しにくい食事を提供することが欠かせません。
特に、噛む力が低下している方や、唾液が少ないために口の中で食べ物をまとめる力が足りていない方は誤嚥が起こりやすいです。
ソフト食であれば噛む力が低下している方や唾液量が足りていない方でもなめらかに飲み込みやすいので、誤嚥の危険性を抑えられます。
【関連記事】高齢者の食事における注意点とは?おいしく食べてもらうコツも紹介
ソフト食のデメリット
ソフト食にもデメリットがあります。
調理時間が長いことや、食材本来の食感・歯ごたえを感じにくいのが主なデメリットです。
デメリット①調理時間が長い
柔らかく仕上げる必要があるため、長時間煮込んだり、つぶしたりする手間がかかります。
1度ミキサーにかけてから固めるものについては、食材ごとに分けて調理しなければなりません。
そのため、通常食と比較すると調理時間が長くかかってしまうのがデメリットです。
デメリット②食材本来の食感・歯ごたえを感じにくい
ソフト食では、柔らかくするためにミキサーにかけて元の形に再現するといった方法もよく取られています。
ですが、形が再現できたとしても、食材本来の食感・歯ごたえとは異なるので、違和感を覚える方もいます。
「どれも柔らかくて歯ごたえがない」と、食べごたえの無さを感じるケースも多いです。
ソフト食を作る際に押さえておくこと
ソフト食を提供する場合、どのようなことに注目すれば良いのでしょうか。
ここでは、作り方について知りたい方のため、ソフト食を作る際に押さえておきたいポイントについて5つ紹介します。
ポイント①栄養バランスを重視する
ソフト食はあくまで料理の提供方法や調理方法のことであり、栄養の問題については別途考えなければなりません。
例えば、柔らかくするために長時間煮込んでしまうと、栄養素が水の中に逃げ出してしまう食材もあります。
茹でるなど、調理してから切ることによって栄養素が大量に失われてしまうのを防げることもあるので、調理方法にも工夫が必要です。
健康的な体を維持するためには、柔らかさだけではなく、使う食材や調理方法を工夫してバランスの良い食事を意識することが大切になります。
3食だけでは栄養バランスが乱れてしまう場合は、おやつもうまく取り入れていくのがおすすめです。
【関連記事】高齢者の栄養バランスの良い食事提供するために押さえたいポイント
ポイント②繊維の少ない食材を選ぶ
繊維が多く含まれている肉類・野菜類などは、柔らかくするのが難しいです。
そのため、繊維の少ない食材を選ぶことが重要です。
例えば、肉の場合はミンチ肉を使うと、柔らかく、食べやすいです。
野菜類だと、じゃがいもやかぼちゃ、人参、大根、キャベツなどは食物繊維が少ないため柔らかくなりやすく、ソフト食に向いています。
ナスは皮が硬いので、皮を剥いたものを使うと良いでしょう。
果物では、バナナや梨、スイカ、いちご、リンゴなどは含まれている繊維量が少なく、食べやすいです。
もちろん、繊維が含まれている食材はNGというわけではありません。
繊維が多く含まれている食材を選択する際は、繊維を細かくするなど調理方法に工夫してみてください。
ポイント③舌などを使って押しつぶせる硬さにする
柔らかさの目安は、舌などを使って押しつぶせるような硬さです。
もともと硬い食材はただ長時間調理するだけでは舌で押し潰せるくらいの柔らかさにはならないこともあります。
そういった場合は、細かくすり潰してから形を整えるなどの工夫が必要です。
どの程度の硬さであれば問題なく舌などで押し潰せるかは個人差も大きいです。
本人に食べやすさなども確認しながら適切な硬さに調整できると良いでしょう。
ポイント④味にメリハリをつける
ソフト食は柔らかくする作り方で調理されていることもあり、通常食と比較すると触感や舌ざわりがどれも似たようなものになってしまいます。
そのため「どれを食べても同じ」といった感覚に陥ることがありますが、味に変化をつけることによりおいしく食べてもらうことが可能です。
また、香辛料活用する方法もあります。
注意したいのが、味を工夫するといっても、塩気を強くしすぎるのはNGです。
高齢者は血圧が高くなっているケースが多く、濃いめの味つけをすると塩分の過剰摂取になってしまう恐れがあります。
一方で、薄味過ぎると満足感が減ってしまうので、バランスに注意したいところです。
出汁を効かせたり、タレやあんなどを活用したりするのも良いでしょう。
ポイント⑤盛り付けにこだわる
見た目の楽しさや美しさも重要です。盛り付けにもこだわってみてください。
食器やランチョンマットを工夫するだけでも見た目が大きく変わります。
見た目がおいしそうだと、それだけで食べる気持ちが湧いてきます。
どのように盛り付ければ興味を持ってもらえそうか検討してみてはいかがでしょうか。
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食べやすいけれど手間がかかるソフト食
いかがだったでしょうか。
噛む力が衰えてしまった方でも食べやすいソフト食とは何かについて紹介しました。
どのようなメリットやデメリットがあるのかについてご理解いただけたらと思います。
食べやすいのは魅力であるものの、長く煮込む必要があるなど、作り方において手間がかかる点に注意しなければなりません。
食事を提供するにあたり食べやすいのはもちろんのこと、おいしさにこだわりたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
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