きざみ食とは?メリットやデメリットと作り方のポイントを解説
噛む力が低下している場合、一般的な食事だとうまく咀嚼できません。
だからといって噛まずに食べられるものだけを選択すると、摂取できる栄養素が偏ってしまいます。
そこで注目したいのが「きざみ食」です。
ここでは、きざみ食について知りたい方のため、どのような調理法なのか、どのようなメリットやデメリットがあるのかについて解説します。
この記事を読むことによってきざみ食にすることによって期待できる効果や、注意しておきたいポイントがわかるので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
きざみ食とは?
きざみ食とは、その名のとおり包丁を使って細かくきざまれた食事のことをいいます。
一般的には、5mm~1cm程度の大きさまで細かくきざまれているので、歯がない方でも食べられるのが特徴です。
きざみ食とミキサー食の違い
同じく歯がない方や咀嚼能力が低下した方でも食べやすい調理方法として、ミキサー食が挙げられます。
ミキサー食は、食材をミキサーにかけてペースト状にする調理方法です。
きざみ食は刻まれているのでまだ食材の食感などが残りますが、ミキサー食の場合はほとんど残りません。
きざみ食と比べると、噛まなくても飲み込むだけで栄養が摂取できるメリットがあります。
一方、水分を加えてからミキサーにかける必要があることから食材の水分量が増えてしまうこと、どの食材も食感や見た目が同じになって食欲が低下しやすいことなどがデメリットです。
【関連記事】ミキサー食とは?ミキサー食を作る際のポイントや注意点を解説
きざみ食のメリット
大きなメリットは、噛む力が弱くても食べられる、見た目に彩りがあるといったことです。
それぞれ解説します。
メリット①噛む力が弱くても食べられる
一つひとつのメニューがとても細かくなっているので、十分な回数噛むことができない方であっても問題なく食べられます。
硬いものは特に何度も噛まなければなりませんが、きざんで小さくすれば無理なく食べられるでしょう。
歯がない方だけではなく、歯が少なくなってしまった方、口を大きく開けられない方にも向いている調理方法です。
メリット②見た目に彩りがある
ミキサー食の場合、ドロドロとした見た目になってしまうことから、彩りを出すのが難しいのですが、きざみ食であれば可能です。
彩りがあることによって食欲が生まれやすくなります。
「普通の食事をとることは難しいけれど、ミキサー食は避けたい」といった場合にもきざみ食が適しているでしょう。
【関連記事】高齢者が食欲不振になる原因とは?効果的な改善策も紹介
きざみ食のデメリット
きざみ食は便利ではありますが、デメリットもあります。
食材によっては誤嚥の危険性があること、衛生管理を徹底しなければならないことが代表的です。
注意しておきたいデメリットを紹介します。
デメリット①食材によっては誤嚥の危険性がある
特に注意しなければならないのが、誤嚥の問題です。
誤嚥とは、本来であれば口腔から咽頭と食道を通って胃へ運ばれるはずだったものが、何らかの理由によって喉頭と気管に入ってしまう状態のことをいいます。
肺炎の原因ともなる危険なものです。
誤嚥にはさまざまな原因がありますが、きざみ食は口の中で広がりやすく、気管に入りやすくなってしまいます。
これは、普通食以上に誤嚥の可能性があるという意味ではありません。
その他の介護食である、ソフト食や流動食などと比較した場合に誤嚥のリスクが高くなるといえるでしょう。
きざみ食で誤嚥しやすくなるのは、唾液が少ないために口の中に入れたものをうまくまとめることができないまま飲み込んでしまう方です。
そのため、唾液が少ない方には向いていません。
唾液の量が正常で、なおかつ飲み込む力に問題がない場合に向いているのがきざみ食です。
特に誤嚥しやすいものといえば、水分が少ないものや大豆・ピーナッツなどの小さいもの、口の中でくっ付きやすいものなどが挙げられます。
【関連記事】ソフト食とは?メリットやデメリットと作り方のポイントを解説
デメリット②衛生管理を徹底しなければならない
きざみ食は、提供する前にまな板の上に取り、包丁で細かくします。
そのため、通常食と比較すると繰り返し使用するまな板や包丁の衛生管理にこだわらなければなりません。
細かくきざまない食事と比較すると、きざむ作業の中で食中毒を引き起こす原因菌が付着する可能性が高くなってしまいます。
細かくきざんだうえで加熱調理する場合は、調理中に原因菌が死滅するケースが多いですが、生のまま食べるものや調理してからきざむものは特に注意が必要です。
きざみ食を作るうえで意識しておくこと
作るうえで意識したいのが、栄養バランスを重視することと、とろみをつけること、調理器具を清潔に保つことの3つポイントです。
それぞれ詳しく解説します。
ポイント①栄養バランスを重視する
きざみ食に限ったことではありませんが、栄養バランスが整った食事を提供することが重要です。
きざみ食は彩りがあることから食欲不振を回避しやすく、これによって低栄養状態の回避も期待できます。
ですが、そもそも献立自体の栄養素が偏っているようだと、すべて食べられたとしても栄養バランスはなかなか整いません。
栄養バランスが乱れると、筋肉量が減少したり、免疫力が低下したりして健康を損なう形になってしまいます。
さらには認知機能の低下や骨がもろくなって骨折するなど、場合によっては寝たきりになってしまうことも珍しくありません。
かといって、食べられる量が少なく、十分な栄養素が取れないケースもあります。
3食の中で栄養が不足してしまうような場合は、おやつをうまく活用して栄養バランスを整えていきましょう。
【関連記事】高齢者の栄養バランスの良い食事提供するために押さえたいポイント
ポイント②とろみをつける
誤嚥を防ぐのに効果的な対策がとろみをつけることです。
誤嚥してしまう大きな原因は口の中で刻んだ食材や食品がばらけてしまうこと、唾液が少ないためにそれらをまとめられないことが挙げられます。
とろみをつけることによって全体的にまとまりを作り、不足している唾液の代わりをしてもらうことが可能です。
飲み込みにくいと思われるものは片栗粉やとろみ剤などを活用してとろみをつけましょう。
ポイント③調理器具を清潔に保つ
調理器具は常に清潔に保たなければなりません。
使うたびにまな板や包丁、ザルやボウルなどをしっかり消毒しましょう。食中毒のリスクを抑えられます。
もちろん、調理者が手洗いすることも大切です。
【関連記事】高齢者の食事における注意点とは?おいしく食べてもらうコツも紹介
きざみ食の作り方
きざみ食といってもそれほど難しいことはなく、水分が豊富なもの、柔らかいものの場合、基本は細かくきざむだけです。
水分が少ないものや硬いものは、ただ細かくきざんだだけだと食べにくくなってしまいます。
例えば、きざんでから汁物に入れて水分と一緒に食べる、たれやソースを含ませてとろみをつけるなどの方法が効果的です。
硬い野菜類は茹でてから潰すなどして柔らかくしてみてください。
魚料理の場合、きざむのではなく、ほぐして提供しましょう。
骨の見落としがないように注意が必要です。
きざみ食は食欲の向上にもつながる
いかがだったでしょうか。
きざみ食の特徴やメリット、デメリット、注意点などについて紹介しました。
ソフト食や流動食などと比較すると彩りを出しやすく、食欲向上も期待できます。
なかには、現在きざみ食を提供しているものの、内容に納得できていないといった病院・高齢者施設の運営者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
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