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介護施設や老人ホームでの食事提供にあたり必要な手続きとは?

介護施設や老人ホームで食事提供する際は、厚生労働省のルールに従って届出を行いましょう。施設内で食事を提供するには「食事衛生管理者」の配置や保健所への手続きが必要です。本記事では、介護施設、老人ホームで食事提供する場合の手続き、食事提供の方法や献立の工夫のポイントなどを解説します。

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介護施設で食事を提供するにあたり必要な手続き

介護施設で食事提供に関わる業務を行う場合は、営業する前に保健所への届出が必要です。届出の義務については、「食品衛生法」に基づいて以下の通りとなっています。

公衆衛生に与える影響が著しい営業を営もうとする者は、厚生労働省で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
「食品衛生法 第55条」

公衆衛生に与える影響が著しい営業を行おうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、その営業所の名称及び所在地、その他厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
「食品衛生法 第57条」

食品衛生管理者の配置

介護施設では施設利用者の食の安全を確保するために「食品衛生管理者」の配置が必要です。「食品衛生管理者」は、厚生労働省が管轄する国家資格です。食品の製造・加工をする施設では、食品の衛生管理を行う専任者を配置することが義務づけられています。
なお、介護施設等に「食品衛生管理者」を配置する場合は、15日以内に保健所に届け出が必要です。
「食品衛生管理者」の資格を取得する方法については、(食品衛生法第48条第6項)に基づく要件を確認しましょう。資格の対象者は、医師、歯科医師、薬剤師、獣医師。学歴については、医学、薬学などの大学、専門学校卒で、食品衛生管理者の養成施設の課程修了者となっています。詳しくは厚生労働省のHPをご参照下さい。
厚生労働省:食品衛生管理者

また、「食品衛生管理者」以外に、管理栄養士がいると、施設利用者の食の安全を考慮して健康面に配慮したサービスが行き届きます。
介護施設の事故の中には、食べ物を飲み込んだ時に嚥下能力が低下しているため、喉を詰まらせてトラブルが発生する事例も出ています。
管理栄養士の配置は義務化ではありませんが、施設利用者やその家族の安心に繋がる役割として配置を検討されると良いでしょう。

役割 配置
食品衛生責任者 義務
調理スタッフ 任意
管理栄養士 任意

食堂を設置する

介護施設で食事提供する場合は、施設内に食堂の設置が義務付けられています。
食堂と機能訓練室の合計面積が、施設利用者1人あたり3㎡以上であること。介護老人保健施設の場合は、施設利用者ひとり当たり2㎡以上確保する必要があります。
介護施設を運用する際は、施設面積のルールに従って、食堂を整備するようにしましょう。

保健所への届出ならびに承認

介護施設の行う食事提供の方法や食事回数などによって、保健所への届出の要否が異なります。以下の場合は、届出を忘れずに行いましょう。

食事提供の方法・回数
1か月以上調理をする
週1回以上朝食・昼食・夕食のどれか1つを20食以上提供する
週1回以上朝食・昼食・夕食合わせて 50食以上提供する

1か月以上調理をする

施設利用者に食事提供を1ヶ月以上行ったことがある、またはこれから予定している場合は、保健所への届出を行います。
例えば、月に一回もしくは数回程度、食事提供する場合は、届出は不要です。

週1回以上朝食・昼食・夕食のどれか1つを20食以上提供する

食事提供の回数についても上限が決められています。
例えば、「朝20食、昼6食、夜5食」の場合は、朝食が20食以上なので届出が必要です。「朝なし、昼6食、夜5食」の場合は、食事の回数が20食以下なので届出は不要です。

週1回以上朝食・昼食・夕食合わせて50食以上提供する

1日の食事の合計が50食以上の場合は、届出が必要です。
例えば、朝20食、昼20食、夜20食の場合は、合計60食なので届出が必要です。
「朝10食、昼10食、夜20食」の場合は、合計40食なので届出は不要です。

 

食事を提供する方法

介護施設で食事を提供する方法は、「自前調理」または「委託調理」があります。それぞれについて解説します。

自前調理

調理師や栄養士などが、介護施設内に配置されていて食事提供できる方法です。「自前調理」のメリットは、施設利用者の毎日の健康状態に合わせて、個々の好みを考えながら献立が立てられることです。また、施設内にキッチンが備わっているため、作った食事を温かいうちに適温配膳できます。
一方、介護施設内に、調理師や管理栄養士など、資格のある人材を確保しなければならないため、人件費はかかりやすくなります。

委託調理

介護施設の外部へ食事提供の業務を委託する方法です。「委託調理」のメリットは、施設内で調理人を採用することは不要で、食事の衛生管理や調理全般についてはすべて委託業者が行うため、人件費やコストが抑えられます。
一方、外部委託になるので、「自前調理」の方法と比較すると施設利用者ごとにきめ細かな対応は難しくなります。

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介護施設で食事を提供する際に知っておきたいポイント

介護施設で食事提供する際は、施設利用者に配慮のあるサービスを行うために、以下のポイントを確認しましょう。

ポイント①それぞれの咀嚼能力や味の好みなどを把握する

加齢による低下によって普通食が上手く飲み込めない方には、調理の工夫をしましょう。
普通食よりも食材をやわらかくして提供することや、ゼリー食やミキサーでペースト状にして食べやすくするなどは、嚥下能力が低下しているご高齢の方に適している調理法です。

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ポイント②食欲がわく献立にする

食事の献立は、栄養面や調理法の工夫に加えて、見た目で食欲がわくような食の演出もあると良いでしょう。食事の盛り付け方や、明るいデザインの器を使うなど、食べるのが楽しくなるような食事提供を考えましょう。

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ポイント③安心・安全な食事を提供する

介護施設で食事提供する際に、最も気配りが必要なのは安心と安全の確保です。提供する食事の献立はもちろん、食事中の利用者の様子を監視しながらも和やかな雰囲気で食事ができるように心がけることが大切です。
施設利用者は、個々に、食事の仕方や食の好みがさまざまです。安心してゆっくりした環境で食事ができるように、個性を尊重しながら対応できるようにしましょう。

ポイント④イベント食・行事食を提供する

介護施設内での時間が長い利用者にとって、イベントや行事は、生活のメリハリを付けるために効果的です。食事に関しても、季節のイベントに合わせて特別な献立を提供できると良いでしょう。正月やクリスマス、誕生日のメニューは、楽しく食べる雰囲気づくりになります。

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食事提供には必要な人員を必ず配置しよう

介護施設や老人ホームで食事提供する際は、まずは安全確保のために、「管理栄養士」を配置して保健所へ届け出が必要です。また、利用者の健康管理に配慮ができるように管理栄養士の配置も検討しましょう。
さらに、安全管理以外にも、施設利用者が楽しく食事ができるように、調理の工夫やイベント用の献立などで、バラエティ豊かな食事提供ができるようにしていきましょう。

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