食事介助の留意点とは?留意すべきポイントや注意点を解説
食事介助は、自力で食事ができない高齢者にとって、大切な役割を担っています。
利用者が食べやすい環境を整えて食事中にトラブルが起きないように見守り、また、楽しく美味しく食べられるように心のケアをしてあげるのも食事介助のしごとです。
本記事では、食事介助について、特徴や留意する点について解説します。
安くておいしい3食650円~センターミールのサービスについてはこちら >
目次
高齢者の食事介助の重要性
高齢者になっても、毎日の食事が美味しく健康的に食べられることが理想的です。加齢とともに体の機能が低下して簡単に食事ができなくなった高齢者を、食事介助がサポートする役割になります。
食事介助で大切なことは、栄養面のコントロール以外に高齢者が食べることに満足感を持ってもらうことや、介助することでお互いにコミュニケーションを育むこと、そして不自由になった体を支えてあげることです。
食事介助が必要になる高齢者の方は、咀嚼力や嚥下力の低下、視覚障害、姿勢が曲がる、箸がうまく使えない等、人によってサポートが必要な部分が異なります。
食事介助は、高齢者が手の届かない不自由な部分が機能できるように手伝ってあげます。
もし食事介助がない場合、高齢者は食事が上手くできないため、低栄養の問題が発生します。栄養不足は免疫力を低下させ活動しづらくなって、寝たきりになってしまう可能性もあります。したがって食事介助は高齢者の健康を保つためにも重要な役割を担っています。
【関連記事】高齢者に多い「低栄養」とは?症状やケア方法を紹介
高齢者の食事の特徴
高齢者の食事内容は、栄養バランスの良い献立を基本に、食べやすい形態であることが必要です。食べやすい形態とは、食材がやわらかく調理されていることです。普通食が食べられなくなった高齢者向けに介護食を用意します。高齢者の身体能力に合わせて、ペースト状にしたりゼリー状にしたり調理方法を工夫します。
高齢者が苦手な食べ物は、パサパサして飲み込みにくい食べ物や、よく噛まないと喉を通らない食べ物等です。介護食は、高齢者の食べやすい形状にアレンジしてあるので、栄養補給を維持するために効果的な調理方法です。
また、こまめな水分補給は大切です。高齢者になると喉の渇きに鈍感になるので、食事介助においては、食前と食事中に適量を補給しましょう
味付けについては、濃い味付けを好む傾向がありますが、糖尿病や高血圧の方は、塩分糖分は控えめが必要です。高齢者になると味覚障害によって塩味や甘味が感じられなくなります。
提供された食事の味付けが気に入らなくて食欲不振になる方もいらっしゃいます。
味付けを工夫する場合は、出汁で旨味を出すことや、酸味や苦味を効かせるなどで対応しましょう。
食欲不振は、胃や腸の働きを弱めてしまうため。消化機能を助ける食事を提供することが必要になります。
【関連記事】高齢者の食事における注意点とは?おいしく食べてもらうコツも紹介
食事介助中に留意すべきポイント
高齢者の食事介助をする際は、以下のポイントを考慮してサポートします。
高齢者に食べやすく考えた食事を美味しく消化するには、食事介助の方が配慮すべき点がいくつかありますので、確認して行きましょう。
ポイント①正しい姿勢をとる
姿勢が崩れたまま食事をすると誤嚥のリスクが高くなるので正しい姿勢で座ることが必要です。車いすの方の場合は、足を床に置いて前傾姿勢になるようにクッションなどで支えると良いでしょう。ベッドの場合はリクライニングの角度を調整して首が安定するように工夫します。椅子で食べられる方には、背もたれにまっすぐ座れるように誘導してあげます。
利用者が正しい姿勢で食事ができるためには、まずは、椅子や車いす、ベッド等の配置や高さを適切な位置に設定することです。
利用者の健康状態によって、姿勢を自力で調整できない方もいらっしゃいます。利用者の負担をなるべく減らせるように周りの設定をしてあげて、本人の自力でできる範囲を残しつつ食事介助してあげることが大切です。
ポイント②利用者の目線に合わせる
食事介助をする方は、利用者と同じ目線になるように椅子に座って対応します。立ったままでは、利用者が安心して食事ができないので、ゆったり食事ができるような配慮が必要です。また、食事を食べさせるときに、利用者の顎が上がってしまうと、食べた後にむせてしまうため、食事介助をする際は、利用者の横に座って対応してください。
ポイント③水分からとる
食事中、むせたり、食べ物が喉につかえないように、食前にお茶や水を飲んでから食事を始めましょう。食べる順番も、味噌汁やスープなどから食べ始めると唾液の分泌が良くなって食事が喉を通りやすくなります。
水分補給は、食前30分前が適切です。一方、食後3時間は、胃で食べ物が消化している時間になりますので、胃の負担を減らすためにも、食後は水分は控えましょう。
【関連記事】高齢者が十分な水分補給をとるための工夫とコツ
ポイント④適切な一口の量を確認する
咀嚼力や嚥下力が弱くなっているため、食事の一口は適量を心がけましょう。スプーンの使い方は、口元に軽く差し出す程度で、無理に喉奥まで入れないように注意してください。
食べ物の一口は人によって異なりますので、利用者の食べ方を見守って対応して下さい。
わからないときは声掛けして本人に聞いてみるのが良いでしょう。
ポイント⑤飲み込んだことを確認する
食事を食べる速度は、利用者のペースに合わせて介助します。食べ物を飲み込んだことをしっかり確認してから食事を進めることが大切です。
食べるタイミングは、普通の方が考えるよりも、さらにゆっくりしたペースであることを踏まえて、急がせないように心がけましょう。
急いで食べると誤嚥のリスクが伴うため注意が必要です。
食べるタイミングについても、利用者に声掛けしてコミュニケーションを取りながら楽しく食事ができることが大切です。
ポイント⑥食事の温度に気を付ける
食べ物の温度は適温であること、熱すぎてヤケドしないように注意が必要です。
しかし、ヤケドを気にして冷めた食事を提供すると、美味しくなくなってしまいます。
ちなみに食事の適温は、食べる方の体温と20度違う温度が美味しく感じると言われています。食事の美味しさは温度によっても変わるため、適温で提供できるようにしましょう。
ポイント⑦食後は摂取量の確認と口腔ケアを行う
食事の摂取量は毎食、確認して記録しておきましょう。利用者の体調管理に必要なポイントです。また、食後はハミガキを習慣づけて、口の中を清潔な状態にするようにサポートしてあげましょう。入れ歯のお手入れも忘れずに行って下さい。もし、うがいができない方の場合は、口腔ケア用のウェットティッシュを利用することができます。
また、食事の摂取量のほかに、その日に食べた献立の感想や、美味しそう食べていた表情なども記録しておくと、食事提供の質を上げることに繋がっていきます。
食事前に準備しておくこと
利用者が食事をする前の準備も、食事介助の作業のひとつです。食事介助は、栄養士が考えた献立を美味しく健康に食べられるように、食前の準備を利用者に習慣づけることも仕事のひとつです。
準備①体調を確認する
利用者の体調チェックをします。いつもと変わりはないか、声掛けして体の様子を聞いてみて下さい。体調がすぐれない場合は、無理に食事はせずに時間をかけて体調回復を待ちましょう。体温と血圧の計測は、安全に食事する前の準備として毎日行います。
準備②排泄を済ませる
食事に集中できるように、食前に排泄を済ませておきます。それでも食事中にトイレに行きたくなった場合は、随時対応しましょう。ただし、認知症の方の場合、食事の途中で席を外すと、食事をしていたことを忘れてしまうこともありますので、その都度対応することが必要になります。
排泄のリズムは、食事のリズムと大きく関係しているため、習慣づけて体調管理がしやすくなるようにサポートしていきましょう。
準備③手を清潔にする
利用者と食事介助する方、どちらも食事前に手を洗って清潔にします。手を使わず食事介助で食事をする方も、手洗いはしておくようにして下さい。
排泄の習慣と同じように、手洗いの習慣も毎日の日課として誘導してあげましょう。
準備④口腔ケアや口腔体操を実施する
口の中を清潔にすることで細菌の繁殖を防ぎます。口腔ケアは、食べ物が食べやすく飲み込みやすくなるための予防策です。清潔にすることで、唾液の分泌をよくして消化力を高めます。食前と食後にハミガキをすることも習慣づけるようにして下さい。
準備⑤環境を整える
食事環境の好みは人それぞれ違いますので、利用者が食べやすい環境を整えてあげることを優先しましょう。テレビや人が騒いでいる場所でも大丈夫な方もいれば、静かな環境を好む方もいらっしゃいます。利用者に声掛けして、食事がしやすい場所を提供してあげましょう。食事環境は臨機応変に対応すると良いでしょう。
準備⑥姿勢を整える
椅子、車椅子、ベッド、それぞれの場所で適切な姿勢で食事ができるようにセッティングしてあげます。姿勢が崩れていることで、食べ物が喉を通りにくくなります。
食事介助をする前に、正しい姿勢を整えてあげて、食事中は、姿勢が崩れないように配慮してあげると良いでしょう。
食事介助時に気を付けること
食事介助で特に気を付けたい点は食事によるトラブルです。高齢者の方は誤嚥リスクを伴っているため、食事介助する方は、食前から食事中、食後まで、正しく食事ができるように見守ることが大切です。
誤嚥予防には、食前と食後の口腔ケア、よく噛んでゆっくり食べること、食事の調理法を工夫すること等の対応ができます。
また、食事の時間については、利用者の健康状態に合わせて、長くても30分程度に済ませましょう。車いすやベッドなどで食事をする方は、姿勢を保つことで体力を消耗してしまう場合もあります。利用者の状態を見守りながら、無理のない食事介助を心がけましょう。
食事介助の留意点を理解した上でのサポートを徹底しよう
食事介助は、高齢者の食事を美味しく健康にできるようにサポートする仕事です。食事介助に大切なことは、食前の準備、食事中のサポート、食後のケアが必要です。
食事介助をすることで、利用者の低栄養のリスクを抑え、食べ物が活力になるようにサポートしていきましょう。
高齢者施設向け食材ならセンターミールにお任せください。おいしさや安全性に配慮した給食を提供しています。
郷土料理の提供や行事食のメニューも充実しているため、完調品の配食サービスをご検討の方は、お気軽にご相談ください。