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嚥下食とは?嚥下障害や定められている基準も解説

介護において、食事の際の注意点は多岐にわたります。
本記事では「嚥下食(えんげしょく)」について詳しくご紹介します。
嚥下食とは何なのか、その基準や、嚥下障害の進行段階についても解説します。

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嚥下食とは?

嚥下食とは、飲み込みや咀嚼(そしゃく)といった嚥下機能の低下がみられる場合、嚥下機能のレベルにあわせて調整した食事のことをいいます。
飲み込みやすい形や、とろみ、食塊のまとまりやすさなどを工夫して、安全かつ効果的に食事ができるようにします。
嚥下食は個々の特性に合わせた適切な調整が重要であり、栄養摂取と患者の安全を両立させられる介護食です。

嚥下食に向いている食品

嚥下食には、食品の飲み込みや咀嚼が難しい人々に適した種類があります。
まず、ゼリー状食品は喉を滑らかに通り抜けるため、嚥下困難な方にとって安全で便利な選択肢です。
次に、豆腐料理は柔らかく喉に優しい食品であり、消化もしやすいためおすすめです。
また、ひき肉料理は食物を細かく挽いて調理するため、飲み込みやすく、タンパク質摂取も可能といえます。
最後に、全粥は穀物を完全に煮砕して作るため、食物の摂取が容易になります。
これらの食品は嚥下食に適しているため、食べる際の安全性と栄養摂取の両方を考えたうえで積極的に摂り入れましょう。

嚥下食に向いていない食品

反対に、注意が必要な食品もあります。
まず、肉やこんにゃくなどの噛みにくいものは、食べる際に力を入れる必要があり、嚥下困難な方には不適切です。
また、パンなどの水分が少ないものは、のどに詰まる可能性があるため注意が必要です。
さらに、海藻類など口内に付着しやすいものは、口の中で絡まりやすく、嚥下困難を引き起こすおそれがあります。
酸味が強くむせやすいものも、嚥下反射を誘発する恐れがあり、安全性に問題があるかもしれません。
嚥下食を選ぶ際は、これらの食品を避けましょう。

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嚥下障害の進行段階

次に、嚥下障害の進行段階を見ていきましょう。
嚥下障害は、以下の3フェーズに分けられます。

  1. 口腔期
  2. 咽頭期
  3. 食道期

それぞれ解説していきます。

口腔期

口腔期は、口の中で食べ物を咀嚼し、飲み込みやすくなったものをのどの奥に運ぶ重要な段階です。
食べ物をのどに送る際には「軟口蓋」と呼ばれる部分が働きます。
軟口蓋は、鼻への誤った経路を避けるために、口腔と鼻腔を区切る役割を果たします。
口腔期の嚥下障害では、咀嚼や飲み込みの困難さや軟口蓋の機能低下が生じることがあり、これにより食べ物がうまくのどに運ばれず、誤嚥や窒息のリスクが高まるわけです。
嚥下障害患者には、適切な咀嚼や飲み込みの指導や補助、さらには軟口蓋の機能を改善するトレーニングが必要とされます。

咽頭期

咽頭期は、食べ物を咽頭から食道へと運ぶ段階であり「嚥下反射」が非常に重要な要素です。
咽頭蓋が嚥下反射によって食道を保護し、食物が気管に入らないようにします。
しかし、嚥下反射に障害が起こると、むせたり誤嚥性肺炎を引き起こす可能性があります。
嚥下機能の低下が進むと咽頭期の飲み込みが困難になり、食事の調整や介助が必要となるでしょう。
咽頭期の適切な管理は、嚥下障害患者の安全な栄養摂取を確保するために欠かせない要素です。

食道期

食道期は、食道が食べ物を胃に運ぶための重要な段階です。
食道の筋肉の力と重力によって、食べ物が胃に移動します。
しかし、食道の筋肉の衰えや異常によって食べ物が途中でつかえると、嚥下障害が発生します。
これは、食べ物が食道に詰まり、食事の進行が困難になる状態です。
食道期の嚥下障害は、食べ物を胃に適切に送る能力に影響を及ぼし、栄養摂取や健康維持に支障をきたす可能性があります。
患者の症状に合わせた治療や食事の調整が必要であり、適切なサポートが求められます。

嚥下食の基準

嚥下食には、どの施設でも同じ基準で食べられるよう、基準が定められています。
最後に、嚥下食の代表的な基準を2つご紹介します。

日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021

「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」は、2010年4月に発足した医療検討委員会の嚥下調整食特別委員会で作成された分類です。
嚥下食の形態を、以下の5段階のコードで分類しています。

 

コード0

コード0は、別名「嚥下訓練食品」と呼ばれています。
このタイプの食品は、形態が均質であり、付着性、凝集性、かたさに配慮しています。
このような食品は離水が少なく、スライス状にすくい上げることも可能です。
原則的には、中間のとろみあるいは濃いとろみのどちらかが適しているとされています。
なお、具体的な食品の例は「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」に記載がありません。

 

コード1

コード1は、別名「嚥下調整食1」と呼ばれています。
このタイプの食品は形態が均質で、付着性、凝集性、かたさ、離水に配慮しています。
典型的な例としては、ゼリー、プリン、ムース状のもの。
主な食品例としては、重湯ゼリーやミキサー粥のゼリーなどがあります。
これらの食品は、飲み込みやすく、嚥下に問題のある方に適しています。
ただし、個々の状態によって食品の選択は異なるため、医師や管理栄養士の指導のもとで「コード1」の食品を選択することが重要です。

 

コード2

コード2は、別名「嚥下調整食2」と呼ばれています。
このタイプの食品は、ピューレ、ペースト、ミキサー食など、均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすい形態を持っています。
スプーンですくって食べることが可能です。
主な食品例としては、粒がなく、付着性の低いペースト状の重湯やおかゆ、やや不均質(粒がある)でも柔らかく、離水もなく付着性も低いおかゆ類などがあります。
これらの食品は飲み込みやすく、嚥下に問題のある方に適しています。
ただし、個々の状態や口腔の機能によって最適な選択は異なるため、医師や管理栄養士の指導のもと「コード2」の食品を選択することが重要です。

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コード3

コード3は、別名「嚥下調整食3」と呼ばれています。
このタイプの食品は、形はあるが押しつぶしが容易で、食塊形成や移送が容易な形状を持っています。
また、咽頭でバラバラにならず嚥下しやすいように配慮されており、多量の離水がない点が特徴です。
主な食品例としては、離水に配慮したおかゆなどが挙げられます。
これらの食品は、嚥下に問題のある方に適しており、食事の安全性を確保するための配慮がなされています。
ただし、こちらも同様、個別の状態によって選択すべきかは異なるため、医師や管理栄養士の指導のもとで「コード3」の食品を選択することが重要です。

 

コード4

コード4は、別名「嚥下調整食4」と呼ばれています。
このタイプの食品は、かたさやばらけやすさ、張りつきやすさなどがなく、箸やスプーンで切れる柔らかさを持っています。
主な食品例は、軟飯や全粥など。
これらの食品は、嚥下に問題のある方に適しており、食事中の負担を軽減するための配慮がなされています。
ただし、個別の状態によって食品の選択は異なるため、やはり医師や管理栄養士の指導のもとで「コード4」として推奨される食品を選ぶことが大切です。

嚥下食ピラミッド

「嚥下食ピラミッド」は、2004年開催の「第10回日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」における教育講演で金谷節子氏が提唱した分類です。
普通食から嚥下食までを、以下の6つのレベルに分けています。

 

レベル0

「レベル0」は、別名「開始食」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、1食あたりの栄養量が100ml、100kcalを基準としています。
主な食品例は、お茶ゼリーやフルーツゼリーなど。
これらの食品は、嚥下に問題のある方の初期段階で利用され、食事の量や栄養を管理するための配慮がなされています。
ただし、具体的な条件は個別に異なるため、医師や管理栄養士の指導に従って適切な食品を摂取することが重要です。

 

レベル1

「レベル1」は、別名「嚥下食Ⅰ」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、1食あたりの栄養量が300ml、150kcalを基準としています。
主な食品例は、ねぎとろ、絹ごし豆腐入り味噌汁ゼリー、重湯ゼリー、具なし茶碗蒸し、プリン、サーモンムースなど。
これらの食品は、嚥下に問題のある方に適しており、食事の量や栄養を管理するための配慮がなされています。
ただし、こちらも具体的な条件は個別に異なるため、医師や管理栄養士の指導に従って適切な食品を選ぶことが重要です。

 

レベル2

「レベル2」は、別名「嚥下食Ⅱ」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、1食あたりの栄養量が500ml、300kcalを基準としています。
主な食品例は、にんじんゼリーやフォアグラムースなど。
これらの食品も、嚥下に問題のある方に適しており、食事の量や栄養を管理するための配慮がなされています。
当然、具体的な条件は個別に異なるため、医師や管理栄養士の指導に従って適切な食品を選んでください。

 

レベル3

「レベル3」は、別名「嚥下食Ⅲ」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、主な食品例としてピューレなどが挙げられます。
レベル3の嚥下食は、歯や口腔機能に障害がある方々にとって適した食事でありながら、野菜、根菜類、魚肉類などのさまざまな食材を使用し、普通の食事に近い形で作れる点が特徴です。
食材の品目や調理方法は個別に異なる場合もあるため、こちらも医師や管理栄養士の指導に従い、適切かつ栄養バランスの取れた食事を摂ることが重要です。

 

レベル4

「レベル4」は、別名「移行食」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、よく煮た肉じゃがなどが主な食品例です。
レベル4は、摂食・嚥下の過程の「3.口腔期」に障がいのある方に対応する食事とされています。
ぱさつきにくく、むせにくい、なめらかな食材や調理方法を選ぶのが特徴です。
また、ひと口大の大きさを目安とし、安全かつ摂取しやすい食事である点も押さえておきましょう。
具体的な栄養バランスや食材の選択は、個別の状況によるので、医師や管理栄養士に相談しながら適切な食事を摂るようにしましょう。

 

レベル5

「レベル5」は、別名「普通食」とも呼ばれます。
このタイプの食品は、一般の人々が普段摂るような食事を指します。
食材の形状や調理方法に、介護食用の特別な調整や加工は必要ありません。
ただし、病気や疾患によって接種すべき栄養や食材は異なるため、誰もが万能に食べられる食事は存在しません。
個々の状態によっては食事の適応性が変わる場合もありますので、医師や管理栄養士の指導に従って食事を摂ることが重要です。

嚥下食とは飲み込む力や咀嚼力のレベルに合わせて調整した食事

今回は、嚥下食について解説してきました。
嚥下食とは、飲み込む力や咀嚼力のレベルに合わせて調整された食事のことです。
摂食や嚥下に障がいのある人々には、安全かつ効果的な食事提供が必要です。
具体的な食材や調理方法は、障がいの程度や個人の状況に応じて異なりますが、食品の形状や食べやすさ、食材の柔らかさや粒度などを調整することで、食事を快適にしてくれます。

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