老人ホームの食事はまずい?その理由と見学時に確認できるポイントも紹介
老人ホームで提供される介護食は、高齢者の身体機能にあわせて工夫されています。
食べやすいようにやわらかく調理してあることや、塩分は控えめなこと、カロリーが調整されていることなどから、あまり美味しくないというイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
本記事では、老人ホームが提供している食事作りの工夫や、施設を見学する際のポイントについて解説します。
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目次
老人ホームの食事がまずいと言われる理由
老人ホームの食事があまり美味しくないと言われる理由はさまざまです。
栄養面が優先されていることや、食事のメニューが決まっていること、外部業者に委託しているため管理が難しいことなどがあげられます。
では、詳しく見ていきましょう。
理由①栄養を優先しているため
老人ホームで提供している介護食は、利用者の身体機能に合わせて、管理栄養士の考えた栄養バランスの良いメニューが提供されています。
栄養的な観点から、味付けが薄めで、油分が少なく調整されていることから、自宅で自由に食事をとっていた方が食べると、物足りなさを感じる場合もあります。
老人ホームの利用者は、それぞれ基礎疾患の持病がある方や、歯や骨が弱い方もいらっしゃいます。
高血圧や心不全、筋梗塞などの予防には、塩分制限が必要です。
また、糖尿病、動脈硬化、心臓病などの予防には糖分制限が必要です。
そのため、利用者の中には食事の味付けが物足りなく、美味しくないと感じられる方もいらっしゃいます。
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理由②食事の選択肢が少ないため
老人ホームでの食事は、あらかじめメニューが決められています。
そのため、家庭で食べる時のように自分で自由に献立を決められません。
老人ホームの利用者全員の希望や好みに合わせてメニューを提供することは難しく、苦情が出るケースもあります。
米が食べたいときにうどんやパンが提供されることもあり、嫌いな食材が入っていても食べなくてはならないといった状況から、老人ホームの食事はまずいという不満が起こる場合があります。
理由③外部に委託しているため
老人ホームによっては、食事を外部に委託しているところもあります。
施設内で調理していないため食事が冷めていることなどから、美味しく食事ができないという意見もあります。
委託業者によって、調理法や食材選びなど品質管理の差はあります。
また、運搬時の保存管理のために、美味しさよりも保存状態や衛生管理を重視して、美味しさが二の次になることもあります。
ただし、外部業者の中でも、美味しさも保存や品質管理も充実している所もあります。
老人ホームを選ぶ際は、外部委託業者についてもあわせて確認すると良いでしょう。
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老人ホームの食事に求められていること
老人ホームでは、常に高齢者に食べやすい介護食について研究、改良を行っています。
ここからは、老人ホームの食事に求められていることをそれぞれ解説します。
噛みやすさ
高齢になると、歯や口内の筋肉が弱まり、咀嚼力が低下します。
噛む力や飲む力が弱い方には、やわらかい食材を選びます。
例えば、豆腐やバナナ、ヨーグルトなどは、介護食として取り入れやすい食材です。
ただし、同じ食材ばかりでは飽きるため、固い食材でもミキサーでペースト状にし、包丁で刻んで食べやすい状態にしてから調理を行います。
肉類は、モモ肉やむね肉よりも、ささみやひき肉、薄切り肉などを選びます。
魚類のなかでは白身魚が噛みやすく、のどに負担がかからないため、高齢者向けの食材にぴったりです。
繊維質の多い野菜類は、下茹でしてから炒め煮たりすることで、食べやすくなります。ごはんの炊き方については、高齢者の咀嚼力に合わせて水分量を調整します。
このように、食材選びは、老人ホームの管理栄養士が栄養バランスと利用者の状態に合わせて調整し、噛みやすい形状で食事が提供できるように工夫されています。
飲み込みやすさ
高齢になると、咀嚼力に加えて嚥下機能も低下します。
飲み込んだものが気管や肺に入り、咳き込んでしまう場合があります。
嚥下障害が伴うと、食べることが苦痛になり、食欲不振で低栄養などの問題が発生します。また、食べたものが正常に食道を通らず、咳き込みの症状が悪化すると、誤嚥性肺炎になるリスクも高まります。
老人ホームでは、嚥下機能が低下している高齢者の方向けに、飲みやすく工夫したメニューを提供しています。
例えば、硬くて食べにくく、口の中でバラバラになりやすい食べ物は、やわらかくなるように煮込む・蒸す・つぶすなどの加工をしたり、卵や小麦粉、マヨネーズなどでまとめたりします。
そのほかにも、パンやイモ類などパサパサしたものには水分を加えたり、サラサラとした液体にはとろみをつけたり、高齢者が食べやすく、飲み込みやすくなるようにひと手間を加えて調理されています。
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塩気の強さ
高齢になると、味覚が鈍くなって味の濃い物を好む方がいらっしゃいます。
しかし、老人ホームでの食事は、塩分が控えめに調整されているメニューが多いです。
特に、高血圧の方には健康上、塩分の少ない食事が提供されています。
ただし、塩分を控えめにすると美味しさが半減してしまいます。そこで、塩味に代わるものを加えて物足りなさを補っています。
塩分の代替えには、出汁を効かせたり、スパイスや香味野菜を使ったり、レモンやお酢で酸味を付けるなどで味の満足感を引き出せます。
栄養バランス
老人ホームの食事は、利用者の身体機能にあわせて、栄養バランスを考慮した健康的なメニューが提供されています。
栄養バランスの良い食事とは、活力の源になる炭水化物「主食」、体を作るタンパク質「主菜」体の調子を整えるミネラル・ビタミン「副菜」、水分と栄養分を補給できる「汁物」がバランスよく組み合せられているメニューです。
高齢者によくある、筋力の低下や、歯の衰え、便秘、生活習慣病などに配慮して、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなど、栄養バランスを重視して食事のメニューを設定しています。
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老人ホームの食事をよりよくするための方法
老人ホームでの食事は、健康面への配慮のほかにも、高齢者の方々が楽しく食事ができるような環境づくりや、施設スタッフの業務負担を軽減するための方法など、食事提供が充実するような取り組みが行われています。
行事食を取り入れる
季節ごとに行事食を取り入れることで、メニューにメリハリがつけられます。
また、利用者の食欲増進効果や、生活リズムにうるおいを与えることも可能です。
たとえば、以下のような行事食・イベント食のメニューがあります。
- 正月のおせち、お雑煮、七草がゆ
- ひなまつりの桜餅、ひし形お菓子
- お花見のちらし寿司
- 土用の丑の日のうなぎ
- 秋の味覚のサンマ、柿や栗
- ハロウィンのカボチャ料理
- 冬の鍋料理
- 誕生日のお祝い料理
- クリスマスケーキ
調理済み食材を取り入れる
老人ホームでの業務は多岐に渡ります。
介護スタッフの業務負担を減らす方法として、調理済みの食材を使用して、調理時間を短縮して美味しい食事を提供することが可能です。
調理済みの食材は、温めるだけの簡易パックや、きざみ食やミキサー食など介護食にも対応しているため、老人ホームの労働環境にも効果的で、利用者にとっても安定した美味しさを提供することができます。
老人ホームの見学で確認できる食事のポイント
老人ホームを利用する際は、食事提供の様子やメニューを確認するために、一度見学してから入居を検討すると良いでしょう。
ここからは、老人ホームを見学する際のポイントをご紹介します。
献立表を確認する
老人ホームを見学に行った際は、食事の献立表を見せてもらいましょう。
どんなメニューが提供されているか、複数の施設の献立を比較してみるとイメージしやすくなります。
老人ホームに入居した後に、食事の内容が充実していれば、生活のリズムも整います。
食事の選択肢の多さを確認する
介護食のバリエーションや栄養バランスについて確認しましょう。
利用者が苦手な食べ物を食べやすいように工夫されていれば、安心して入居することができます。
また、入居後の楽しみとして行事食やイベント食などが計画されているのか?栄養面以外についても確認しましょう。
実際の献立を試食する
老人ホームを見学する際に食事を試食させてもらいましょう。
説明よりも食べてみた方が判断しやすくなります。
味覚、食事メニューのバランス、盛り付け方や食事の量など、確認しましょう。
また、実際に利用している高齢者の方の食事風景を見せてもらうと、食事環境をイメージできて、食事介助の様子や食事をしている方の様子などをみれば、老人ホームの食生活を体感することができます。
老人ホームの食事の「まずい」はもう古い?センターミールの調理済み食材
老人ホームの食事がまずいというのは、単なるイメージで、実際は、高齢者に寄り添った介護食が提供されています。
「センターミール」では、調理済みの食材を使って利用者に美味しい食事を提供しています。
温めるだけで美味しい家庭の味が楽しめるように、冷凍食材を毎日の食事に摂り入れています。
冷凍食材のメリットは、衛生的で栄養が保存され、常に変わらぬ美味しさを提供できることです。
また、見た目や風味を損なわないように、素材の良さを活かしたまま食卓にお届けできます。
センターミールの調理済み食材には、介護食はじめ、普通食、きざみ食、利用者が楽しめるイベント食など、豊富なメニューを取り揃えています。
老人ホームの食事にはさまざまな工夫がされている
老人ホームの食事は、利用者の方が楽しく・美味しく食べられるように工夫されています。
また、施設スタッフの業務負担を減らし、変わらない美味しさを提供できるように、調理済み食材が採用されている施設も多くあります。
老人ホームを選ぶポイントの一つとして、食事提供の内容が気になる方もいらっしゃるでしょう。
実際に、いくつかの施設を見学して比較することをおすすめします。