食品添加物の問題点をメリット・デメリットとともに解説
食品添加物は、食品の腐食を抑えて安全に消費者に届けるために必要な物です。
その一方で、食品添加物への悪いイメージや危険性についての疑問は、誰もが気になる点ではないでしょうか。
また、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどで手に取る食品の大半は食品添加物が使用されているため、正しく理解してから選ぶことをおすすめします。
本記事では、食品添加物の問題点や、メリットとデメリットのほか、特に注意したい食品添加物について解説します。
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目次
食品添加物とは
食品衛生法では、食品添加物を以下のように定義しています。
「添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物をいう。~食品衛生法第4条2項」
食品添加物は、食品の日持ちや見た目を補うために、製造・加工の工程において着色料や香料、甘味料、保存料を加えた食品を示します。
食品添加物の歴史には、有毒性の高い化学物質「サリチル酸」が清酒に使用されていた時代もあります。
のちに健康被害の問題を受けて、1947年に食品衛生法が制定されました。現代の食品製造業界では、食品添加物は欠かせません。
厚生労働省が厳しいルールを設けており、過剰な混入を規制し、国民の健康被害を抑える役割を担っています。
では、厚生労働省に認可された食品添加物について、4つの分類別に確認していきましょう。
食品添加物の品目は、1500以上あります。
- 指定添加物:476品目
- 既存添加物:357品目
- 天然香料:600品目
- 一般飲食物添加物:100品目
指定添加物
「指定添加物」は、食品衛生法第12条に基づき、厚生労働大臣が安全性と有効性を評価した化学的合成品と天然物です。
食品衛生法施行規則別表1に記載されています。
※指定添加物の例
- グレープフルーツ、レモン、梅干し、お酢などに含まれている「クエン酸」/li>
- かまぼこ、ちくわ、ハム、ソーセージ、チーズなどに含まれている「ソルビン酸」
- イチゴ、ほうれん草、レタス、カリフラワーなどに含まれている「キシリトール」
既存添加物
「既存添加物」は、昔から食べ続けてきた化学合成品以外の添加物です。
長い食経験があるため、例外的に指定を受けることなく、使用と販売等が認められているものです。
1995年の食品衛生法改正から、指定された化学合成品から天然物が、例外的に使用が認められています。
※既存添加物の例
- きのこ、海藻類、エビ、ビールやパン酵母などに含まれている「トレハロース」
- りんご、ぶどう、梨、ブラックベリー、チョコレートなどに含まれる「カテキン」
- しょう油、味噌、佃煮、魚肉ねり製品などに含まれる「カンゾウ抽出物」
天然香料
「天然香料」は、動物や植物から抽出できる天然物です。
食品に香りを付けるために使用されます。
※天然香料の例
- 香草:ペパーミント、ローズマリー、セージなど
- 花:ローズ、ジャスミン、ローズ、マリーゴールドなど
- 葉:ユーカリ、ローレルなど
- 樹皮:シナモン、キハダなど
- 樹木:サンダルウッド、ローズウッドなど
- 種子:ピーナッツ、ピスタチオ、ヘーゼルナッツなど
- 果実:マンゴー、みかん、ぶどう、パイナップルなど
一般飲食物添加物
「一般飲食物添加物」は、一般的に飲食されているもので、食品添加物として使われています。
※一般飲食添加物の例
- ジュースに含まれる「ブドウ果汁」「チェリー果汁」「ストロベリー果汁」など
- ゼリーや羊羹などに含まれる「寒天」
- ココアに含まれる「ココアパウダー」
- うなぎ、エビ、魚の皮、豚骨などに含まれる「コラーゲン」
- カレーに含まれる「ウコン」
- ゼリー、グミ、ハム、ソーセージ、日本酒等に含まれる「ゼラチン」
食品添加物を使用するメリット
「食品添加物は良くない」というイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、食品添加物にはメリットもたくさんあります。
また、生産流通には、食品添加物の役割が大きい部分を占めています。
メリット①保存期間が長くなる
食品添加物は、食品の保存期間を長くするために使われています。
例えば、保存料や酸化防止剤などが含まれるため、食品が腐食し酸化することなく、私たちは安心して食品を使用することができます。
「消費期限や賞味期限の長い食品には、食品添加物がたくさん含まれているのか?」という疑問も出てくるでしょう。
食品の保存期間の表示については、食品添加物の量のほか、製造方法、原材料の特性、流通時の温度管理や製品に含まれる水分など、さまざまな要素から決まっています。
したがって、消費期限や賞味期限の長さは、食品添加物の量だけでは決まりません。
また、食品添加物の使用量は、食品安全委員会や国際機関で基準が設定されています。そのため、食品添加物入りの食品を過剰に摂りすぎなければ、健康上は問題ないとされています。
メリット②発色がよくなる
香料や着色料を加えることで、見た目の美味しさを引き立てることができます。
一般的に、赤、黄色、オレンジなどの暖色、黄緑、グリーンなどの中間色は食欲が出る色だと言われています。
食品にこういった色を付け加えることで、消費者の購買力に繋げることもできます。
日本で着色料として親しまれているクチナシ、ヨモギ、ベニバナ等は、代表的な天然由来の食品添加物です。
メリット③食中毒の予防になる
食品添加物を使用することで、微生物の繁殖を防いで食中毒のリスクを抑えられます。
日本の気候風土は、高温多湿で食中毒を起こしやすい環境です。
そのため、食品添加物を使用して食の安全を確保しています。
例えば、コンビニやスーパーなどのお弁当には、食品の腐食を防ぐために保存料や、殺菌料、酸化防止剤を使用することで、食中毒の予防と安全性を確保しています。
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メリット④品質や価格を安定できる
食品添加物は、食品の品質や価格を安定維持するためにも効果的です。
例えば、リンゴジュースの原料であるリンゴは、原産地が異なると味が変わります。
しかし、着色料や香料を少量加えることで、同じ味と品質を保つことができます。
食品添加物を使用して保存期間が長くなることで、食品の廃棄量や運送回数を抑えて長くストックできます。
また、原価の高い天然由来のものよりも、原価が安い化学合成物を使用することで、より低コストで生産できるようになります。
メリット⑤栄養素を補える
「栄養強化剤」を使用することで、ビタミン、ミネラル、アミノ酸など、からだに必要な栄養素を摂り入れられます。
栄養強化剤とは、栄養強化を目的として使用する食品添加物です。
栄養強化の目的で使用した食品添加物の代表例として、エナジードリンクや栄養ドリンクなどが挙げられます。
他には、ハム、ジャム、乾めん、即席めん、マカロニ、マーガリンなどに含まれます。
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食品添加物を使用するデメリット
食品添加物は、厚生労働省の使用基準が設定されているため、安全性は確保されています。
ただし、注意しておきたい点についても、消費者側の視点で知っておくことも重要です。
デメリット①1日の摂取量が決められている
食品添加物は、1日の摂取量について注意が必要です。
食品添加物は、食品安全委員会や国際機関により「一日摂取許容量(ADI)」が設定されています。
これは、毎日摂取し続けても健康に悪影響がないと判断される量のことです。日本では、このADIに基づいて添加物ごとに使用基準が設定されています。1日の摂取量以上を摂らなければ健康には問題がありませんが、摂取量には注意しましょう。
また、詳細は後述しますが、異なる添加物を同時に摂りすぎることも控えましょう。
栄養は、バランス良く摂取することが大切です。
【関連記事】高齢者の栄養バランスの良い食事提供するために押さえたいポイント
デメリット②人体に悪影響を及ぼす可能性がある
食品添加物は、現在は厚生労働省の認可によって安全性が確認されています。
しかし過去には、厚生労働省の再検証の結果、発がん性が発見されて、食品添加物リストから除外されたものもあります。
また、日本と海外では、食品添加物の安全基準も異なります。
したがって、安全性が確保されているものの、長期にわたって食べるリスクや、今まで害がないとされていても基準が変わる場合もあります。
また、海外で食べる食事には、日本の使用基準には当てはまらない量の添加物が含まれていることもあります。
そのため、個人で気を付けておく必要があるでしょう。
デメリット③アレルギー物質が入っているおそれがある
アレルギーのある人は、食品添加物によって健康に影響があるケースもあります。
食品アレルギーがある方は、「〜由来」または「〜を含む」と表示された内容を確認しましょう。
食品添加物の表示には、原材料と食品添加物がわかりやすく分類されて記されているため、見やすくなっています。
※表示例
- 調味料(アミノ酸:いか由来)
- 増粘剤(キチン:えび・かに由来)
- チョコレート(乳成分を含む)
摂取量に注意したい食品添加物の種類
食品添加物は、少量・適量であれば、摂取しても問題ありません。
ただし、過剰量を超えた、化学合成物どうしの組み合わせによって毒性に代わることもあります。
では、どの食品添加物の危険リスクが高いのでしょうか。それぞれ確認していきましょう。
亜硝酸ナトリウム
亜硝酸ナトリウムは、肉類の発色を良くするために用いられる食品添加物です。
また、生鮮食品の微生物の繁殖を抑えて腐敗を防ぐ効果があります。その一方で、食肉に含まれる「アミン」という物質と結びつくと、発がん性物質「ニトロソアミン」に変化します。大量に摂取し続けると、がんになるリスクが高まります。
亜硝酸ナトリウムの1日摂取許容量(ADI)は、「0.06㎎以下×体重(Kg)/日」です。
毎日、適量に取り入れる場合は問題ありませんが、毎日の積み重ねによる影響は無いとは言えません。
アスパルテーム
アスパルテームは、スイーツや飲み物などに甘味を加えた場合に用いられる合成甘味料です。
アスパルテームで気をつけたいのは、脳腫瘍や白血病、知能低下、認知症、心疾患、アトピー、不眠症などのリスクです。
アスパルテームの1日の摂取量(ADI)は、「 2344mg/日(約2g)」です。
厚生労働省の見解では、許容摂取量以上を摂取しなければ危険性はないと判断しています。
しかし、ノンシュガー、カロリーゼロなどのダイエット系の飲み物を日常的によく飲まれている方は、一日に飲む量に気を付けましょう。
安息香酸ナトリウム
安息香酸ナトリウムは、カビや細菌の繁殖を抑えて、食品の腐敗を防止する保存料です。
清涼飲料水や栄養ドリンクや、マーガリン、清涼飲料水、醤油などに含まれています。
これは、ビタミンCなどの酸を一緒に摂ると発がん性物質である「ベンゼン」を作るリスクが高まることがわかっています。
安息香酸ナトリウムをなるべく避けるには、マーガリンよりもバターを選んだり、添加物の少ない飲み物を選んだり、醤油の製造法を確認してから購入したりするなど、工夫すると良いでしょう。
食品添加物を複合摂取した場合の影響
食品安全委員会の調査結果では、食品添加物の複合摂取については、健康影響が実際に起こる可能性は極めて低いとされています。
具体的には、食品中の添加物同士の相互作用、複数の添加物が体内に摂取された後の相互作用について、国際機関での検討結果や最新の研究成果などを幅広く調査したところ、複合影響についても安全性が十分に確保されていると公表しています。
近年注目を集める無添加食品の需要
無添加食品は、健康志向の方に人気の食材です。また、新型コロナウィルス感染症の影響で自宅にいる時間が増えたことで、食生活やライフスタイルを見直す方も増えており、無添加食品への注目度もより高まってきています。
「ナチュラル」、「自然」、「天然」などの文言が含まれる商品名や、「無添加表示」食品などは、健康に気を配っている方には手に取りやすい面もあります。
ただし「無添加」と表示されていても、わずかに添加物使用のものもあり、すべてが完全な無添加というわけでもありません。
例えば、「保存料・着色料・香料無添加」、「化学調味料不使用」などといった表示がある場合は、そのほかの添加物が使用されているという意味になります。
さらに、無添加食品の場合、食品の品質管理や安全に流通する工夫などに労力を費やす必要があるため、価格設定が割高になることが多いのです。
最近では、無添加食品の品質を保ちながら消費者へ届ける方法として、「急速冷凍」という食品の品質を極力変えずに冷凍する技術が採用されてきています。
急速冷凍した食品は、解凍しても冷凍前の状態に限りなく近い状態に復元させられます。
この方法であれば、添加物なしの食品を問題なく流通することができるようになります。
食品添加物について知り健康維持に繋げましょう
食品添加物は、厚生労働省の管理下で安全性が確認され、1日の摂取量に注意すれば、問題ないとされています。
ただし、世の中には、数えきれないほどの商品が流通しているため、手に取った食品に含まれている食品添加物について興味を持ち、確認するようにしましょう。
どんなに安全性の高い食品であっても、過剰摂取は禁物です。健康な生活を営むためにも、食品添加物について注目することをおすすめします。