高齢者がとる塩分の目安は?制限が必要なときにおすすめの工夫
高血圧の方は、塩分の摂りすぎに気を付けましょう。
高血圧は、心筋梗塞や脳卒中、腎臓病などといった生活習慣病のリスクが高まります。
本記事では、高齢者に必要な塩分について、摂取量の目安や食事作り方の工夫、おすすめレシピなどを解説していきます。
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目次
高齢者の塩分摂取量の目安
まずは、高齢者の塩分摂取量の目安を見ていきましょう。
厚生労働省の公表している「国民健康・栄養調査結果の概要(2018年)」によると、食塩摂取量の平均値は10.1gです。
男女別では、男性が11.0g、女性が9.3gとされています。年齢別では、最も多いのが男女ともに60歳代で、男性が11.6g、女性9.9gとなっています。
また、同じく厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年度版)」では、塩分の摂取量は、1日あたり6.5〜7.5g程度が推奨されています。
これらの数値からもわかるように、加齢にともなって塩分を摂りすぎる傾向となっています。
特に60代前後になったら、毎日の食事の塩分量を見直すようにしましょう。
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塩分を過剰に摂取した高齢者に起こること
高齢者が塩分の摂りすぎで気を付けたいことは、高血圧による病気のリスクです。
塩分の過剰摂取は、高血圧で動脈硬化を進行させて、血管に負担がかかります。
すると心筋梗塞や狭心症、脳出血、脳梗塞などの脳血管疾患のリスクが高まります。
さらに、血液量の増加は、腎臓への負担も大きくなって腎機能の低下にも繋がります。
また、塩分の多い食事は、食欲が増すので食べすぎて肥満になりやすくなります。
濃い味の食事を食べるときに水分も多く摂るため、むくみが生じて体重も増加します。
したがって、塩分の摂りすぎは、さまざまな疾患リスクを伴うため、塩分控えめの食事をするように心がけましょう。
【関連記事】高齢者の食事における注意点とは?おいしく食べてもらうコツも紹介
塩分制限が必要な高齢者におすすめの工夫
塩分控えめの食事は、味が薄くて食べにくいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
薄味の食事を作っても、後から醤油や塩をかけて食べるということもありますが、それではかえって塩分を過剰に摂りすぎてしまうことになります。
ここからは、塩分が控えめでも美味しく食べられる工夫について解説します。
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うまみ成分を引き出す
「うまみ(うま味)成分」のある食材を使いましょう。「うま味」とは、の5つの基本味(甘味・酸味・塩味・苦味)の1つです。
塩分が控えめでも、うまみがあると味の満足感が得られるということが分かっています。
うまみ成分が引き出せる食材を料理に用いることで、美味しい減塩料理を作ることができます。
うまみは、昆布、かつお節、煮干し、醤油や味噌などの発酵食品、トマトやチーズなどを使うことで引き出せます。
また、干しエビ、干ししいたけ、切干だいこんなど、乾物類を使うこともおすすめです。
酸味を使って味付けをする
酸味を効かせると、塩分が少なくてもおいしさを引き立たせる効果があります。
ポン酢、三杯酢、土佐酢、レモン、ゆずなどを食事に摂り入れましょう。
焼き魚や和え物などに醬油の代わりに酢やレモンを使うと、味が引き締まり、美味しく召し上がれます。
カリウムを混ぜる
ナトリウムとカリウムは、体内でお互いのバランスをとる関係にあります。
塩分(ナトリウム)を摂りすぎると、カリウムはナトリウムを排出するようにはたらき、血圧を下げる効果があります。
そのため、カリウムを積極的に摂ることをおすすめします。カリウムを多く含む主な食材は、納豆、海藻類、さといも、アボカド、りんご、バナナなどです。
ちなみに、最近ではカリウムが多く含まれる食材と、肉よりも魚介類が中心で、オリーブオイルで味付けされる「地中海食」と呼ばれる料理があります。健康的な食事の一つとして注目されています。
塩分制限中の食事でもおいしく食べられるレシピ
高齢者の食事に塩分控えめの調理法を利用して、美味しく食べられるレシピを作りましょう。
栄養不足になりがちの高齢者の方には、タンパク質や食物繊維など栄養価の高い食材を選んで、酸味や旨味を加えた減塩メニューに摂り入れましょう。
レモンクリームソース
酸味を効かせたクリームソースです。
レモンで酸味を効かせて、高齢者でも食べやすいクリーム仕立てにしました。
今まで焼き魚に醤油をかけていた方は、塩分控えめのレモンクリームソースがおすすめです。
※材料
- 生クリーム:25g
- バター:3g
- レモン汁:小さじ1/3
- オリーブオイル.:小さじ1/5
- こしょう.:少々
※作り方
鍋でバターを溶かして、次に生クリームを入れて煮詰めます。
火を止めてレモン汁を加えたら、最後にこしょうとオリーブオイルを混ぜて完成です。
キウイソース
お肉料理にピッタリの酸味と甘味の効いたキウイソースです。
キウイに含まれる酵素がお肉を柔らかくしてくれます。
肉団子料理やささみフライなどにかけると消化力が良く、高齢者の食事におすすめです。
※材料
- キウイ:1/2個
- 砂糖.:0g
- レモン果汁.:少々
※作り方
細かく刻んだキウイフルーツと砂糖を混ぜて、火にかけます。
とろみが出てきたら、そこにレモン汁を加えて完成です。
豆腐とオクラのもずく和え
お酢とショウガの効いたサッパリ味の和え物です。
減塩効果のあるカリウムを含むゴマ、
整腸作用のあるオクラ、タンパク質豊富な豆腐、ミネラル成分のモズクを使った高齢者に健康的なメニューです。
※材料
- 豆腐:.1/4丁
- オクラ:2本
- モズク:25g
- 酢:大さじ1
- 砂糖:小さじ1
- ショウガ:少々
- 塩:少々
- すりゴマ:少々
※作り方
オクラを塩もみして小口切りにし、豆腐は軽く崩します。
に調味料を混ぜて、そこに豆腐、オクラ、モズクを入れて混ぜます。
最後にすりゴマをかけたら完成です。
高齢者の健康のために塩分控えめの食事を心がけましょう
高齢者の食事には、塩分を控えたメニューを考えて健康管理に役立てましょう。
減塩だけすると食が進まなくなるため、旨味だしや酸味、カリウムを含む食材を使って工夫することをおすすめします。
塩分の摂りすぎは、高血圧でさまざまな疾患のリスクを伴います。加齢による体力の低下で、さらに健康を害することがないように気を付けましょう。