公開日  更新日

高齢者の食事量の目安は?介護食やお粥の量の具体例を解説

食事について悩んでいる高齢者施設の方に向けて、高齢者の方のお粥や介護食事量について解説します。
「食事をあまり食べてくれない…」「必要な食事量や栄養素がわからない…」など、高齢者の方の食事量について悩んでいる方は多いようです。

そこで高齢者の方に適したお粥の量や、介護食事量について解説します。
参考にしていただければ、お一人お一人に適した食事の量を判断するための参考にしていただけるはずです。

安くておいしい3食650円~センターミールのサービスについてはこちら >

高齢者の食事量の目安とは?

高齢者の方の食事量の目安は、身体活動レベルにより変わります。

まずは身体活動レベルごとの摂取カロリーの目安を見てみましょう。

身体活動レベル 摂取カロリーの目安
65~75歳 75歳~ 65~75歳 75歳~
男性 女性
立ち仕事・家事・買い物などの軽い運動を行う 2,400kcal 1,850kcal 2,100kcal 1,650kcal
移動が多い・活発な運動をする 2,750kcal 2,100kcal

摂取カロリー目安は身長や体重によっても変わるため、あくまでも目安としてください。
必要な食事量は、「必要摂取カロリーの目安を満たせる分」となります。

たとえば2,200kcalを満たせる具体的な食事例は次のとおりです。

【食事例】

  • 朝食:食パン2枚、ハムエッグ、サラダ、オレンジ、牛乳
  • 昼食:野菜あんかけの肉うどん、果物入りヨーグルト
  • 間食:カステラとミルクコーヒー
  • 夕食:お粥1杯、肉じゃが、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、味噌汁(豆腐とわかめ)

高齢者の方はサルコペニア予防のため、タンパク質を多めに摂取するのが望ましいとされています[1]。
必要とされるタンパク質量の目安は、1日で体重1kgあたり1.25gです[1]。

肉や魚、卵、乳製品を積極的に摂ると健康を維持しやすいでしょう。
高齢者の方の食事量目安は決して少なくなく、積極的にタンパク質を摂るようにしてください。

【関連記事】高齢者に多い「低栄養」とは?症状やケア方法を紹介 

あまり運動しない人や寝たきりの人の食事量の目安

1日のほとんどを座って過ごしていたり、寝たきりだったりする高齢者の方では必要な食事量が減ります。

介護食事量の目安となるカロリー摂取量を見てみましょう。

身体活動レベル 摂取カロリーの目安
65~75歳 75歳~ 65~75歳 75歳~
男性 女性
1日のほとんどが座ったまま・寝たきり 2,050kcal 1,800kcal 1,550kcal 1,400kcal

摂取するべきカロリー摂取量は少なくなりますが、必要なタンパク質量は変わらないことに注意が必要です。

具体的な食事例は次のようになります。

【食事例】

  • 朝食:食パン1枚、目玉焼き、野菜サラダ、牛乳、りんご入りヨーグルト
  • 昼食:お粥(控えめに)、焼き魚、筑前煮
  • 夕食:お粥(控えめに)、冷奴、ほうれん草のおひたし、きのこ炒め、みかん

活動する高齢者の方よりも主食を控えめにして、カロリーを抑えた食事例です。

介護食事量は年齢や体重だけでなく、1日の活動量も考慮して高齢者の方の食事量を決めてください。

【関連記事】介護食とは?普通食との違いや5つの種類と作り方のポイントを解説

 

高齢者の食事で取り入れる栄養素とは?

食事から摂取するカロリーが同じでも、中身が違えば摂取できる栄養素は変わります。
それでは高齢者の食事で取り入れるべき栄養素とはどのようなものでしょうか。

【関連記事】高齢者の栄養バランスの良い食事提供するために押さえたいポイント 

栄養素①炭水化物

炭水化物は、身体を動かすためのエネルギー源となる栄養素です。
不足するとエネルギー源として体脂肪が使われて痩せてしまったり[2]、筋肉が分解されて体力が低下したりします。

炭水化物はお粥から摂取できる栄養素です。
高齢者の方では1日の摂取エネルギーのうち、50~65%[1]の量をお粥から摂取するのが理想となります。

ちなみにお粥100gあたりの炭水化物量は15.7g、カロリーは65kcalです。
1日に1800kcalが必要な高齢者の方に適したお粥の量は、炭水化物をお粥からしか摂らないとすると、約1400gが必要となります。

炭水化物は人間にとって活動の基本となるエネルギー源であり、必要量をしっかりと摂取したいものです。

栄養素②タンパク質

タンパク質は身体をつくるもととなる栄養素です。
筋肉や皮膚、髪、爪、内臓、血管など、わたしたちの身体のほとんどはタンパク質からできています[3]。

特に高齢者の方は意識的に摂取したい栄養素です。
若い人に比べて高齢者の方は「同化抵抗性」が低く、タンパク質から筋肉を作りにくくなるためです[3]。

タンパク質は肉・魚・大豆製品・乳製品・卵などに多く含まれます。
エネルギー量に換算すれば、「1日の総摂取エネルギー量の15~20%」の摂取が理想的です。
しかし高齢者の方はもう少し多めに、「体重1kgあたり1.25g」のタンパク質を摂取すると筋肉を維持しやすいでしょう[1]。
つまり体重が60kgの方であれば、75gとなります。

100g中に含有されている各食品のタンパク質量は次のとおりです。

【含有量[3]】

  • 全卵:12.2g
  • 牛モモ肉:19.5g
  • 絹ごし豆腐:5.3g
  • 鶏むね肉:19.5g
  • 塩サバ:26.2g

タンパク質は一度にたくさん摂っても、体内で処理されず排出されてしまいます[4]。
食品ごとのタンパク質量を把握して、毎食ごとに20~30g[4]を目安としてしっかりと摂取してください。

栄養素③脂質

脂質はいわゆる「油」「脂」のことですが、細胞を守るための膜の原理となる大切な栄養素です[5]。
もちろん摂りすぎれば体脂肪となり肥満につながります。

しかしやはり身体にとって必要な栄養素であることに変わりはありません。
高齢者の方の理想的な脂質摂取量は、「1日に摂取する総エネルギー量の20~30%[1]」です。
タンパク質よりも総エネルギー量に占める割合が高くなっています。

しかしタンパク質は1gあたり4kcalなのに対し、脂質は1gあたり9kcalです。
タンパク質よりも比率は高いものの、より多く脂質を摂取しなければならないわけではありません。

また、脂質にはさまざまな種類があり、高齢者の方では「飽和脂肪酸」は控えるべきだとされています[1]。
代わりに摂りたいのが、「多価不飽和脂肪酸」と呼ばれるn-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸です[1]。
2つの多価不飽和脂肪酸は、細胞膜を適度な柔らかさに保つために必要となります[5]。

高齢者の方の健康のために脂質摂取量を考えるなら、カロリーはもちろん、脂質の種類にも注意したいものです。

栄養素④ビタミン

ビタミンは炭水化物・タンパク質・脂質が体内で機能するよう、支える役割を持つ栄養素です[6]。

ビタミンA・C・D…など全部で13の種類があります。
それぞれのビタミンは異なる働きをしており、体内の合成では不足するため、毎食で適度な量を補わなければなりません[6]。

高齢者の方が必要とするビタミンの摂取量目安を、厚生労働省の資料をもとにして、種類ごとにご紹介します[1]。

男性 女性
ビタミンA 550~850μgRAE 450~700μgRAE
ビタミンD 8.5μg 8.5μg
ビタミンE 6.5~7.0mg 6.5mg
ビタミンK 150μg 6.5μg
ビタミンB1 1.0~1.3mg 0.8~1.1mg
ビタミンB2 1.1~1.5mg 0.9~1.2mg
ビタミンB6 1.1~1.4mg 1.0~1.2mg
ビタミンB12 2.0~2.4μg 2.0~2.4μg
ナイアシン 11~13mgNE 9~10mgNE
葉酸 200~240μg 200~240μg
パントテン酸 6mgμg 5mgμg
ビオチン 50μg 50μg
ビタミンC 80~100mg 80~100mg

栄養素⑤ミネラル

最後にご紹介する栄養素であるミネラルは、ビタミンと同じように他の栄養素のサポートをしたり、身体の機能を正常化したりします。
ナトリウムやカリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄などが有名です。
ミネラルもビタミンと同様、種類によって必要な量が違います。

高齢者の方にとって必要なミネラル量を見てみましょう[1]。

男性 女性
ナトリウム 600mg 600mg
カリウム 2,500mg 2,500mg
カルシウム 600~750mg 500~650mg
マグネシウム 270~350mg 220~280mg
リン 1,000mg 800mg
6.0~7.5mg 5.0~6.0mg
亜鉛 9~11mg 6~8mg
0.7~0.9mg 0.6~0.7mg
マンガン 4.0mg 3.5mg
ヨウ素 95~130μg 95~130μg
セレン 25~30μg 20~25μg
クロム 10μg 10μg
モリブデン 20~30μg 20~30μg

ミネラルはきのこや海藻類に多く含まれる栄養素です。
主食や主菜とともに、副菜としてきのこ・海藻類を積極的に取り入れていきましょう。

【関連記事】高齢者に多い「低栄養」とは?症状やケア方法を

 

高齢者の食事で意識すること

高齢者の方の食事では、栄養素以外にも意識するべきポイントがあります。

【関連記事】高齢者の食事における注意点とは?おいしく食べてもらうコツも紹介

ポイント①1回当たりの食事量を減らして間食の回数を増やす

まずは1回あたりの食事量を少なくして、食べる回数を増やすことです。

1回あたりの食事を多く食べられなくても、間食なら手軽に食べられます。
間食で足りない栄養を補うようにすれば、1日に必要な栄養素を賄えるでしょう。

1日に必要なエネルギー量の約10%を間食で摂るようにすると、無理なく食べられるはずです。

ポイント②食べやすいメニューを取り入れる

もし食が進まないようであれば、高齢者の方が食べやすいメニューを取り入れてください。

食事の好みは人それぞれです。
おいしいものであればたくさん食べたい気持ちになりやすいため、高齢者の方の好みの味の食事を出すことが大切です。

特に高齢になると味を感じにくくなるため、少し濃い目の味付けで作ってみるのも食べやすくするための方法でしょう。

ポイント③空腹を感じられるように運動する

食べられる量が少なければ、空腹を感じられるように積極的に運動をしてもらうのもひとつの方法です。
運動をすればエネルギーが消費されて、自然と「食べたい」との欲求が生まれてきます。

運動は高齢者の方にとって、食欲増進とともに筋力低下を防ぐための手段でもあるため一石二鳥です。

ポイント④好みに合う味付けや調理方法を選ぶ

味付けや調理方法を工夫することも重要なポイントです。
もし咀嚼が難しければ、ご飯ではなくお粥にして高齢者が摂取するべき炭水化物量をクリアしましょう。

魚や肉などは焼くよりも、蒸したりあんかけにしたほうが喉どおりが良いかもしれません。
お粥と一緒に食べると喉どおりもよく、高齢者の方の食事量も確保できるはずです。

 

高齢者のお粥や食事の量は体重や活動量によって違う

いかがでしたでしょうか?
この記事を読んでいただくことで、高齢者の方のお粥量や介護食事量の目安がご理解いただけたと思います。

高齢者の方の食事量は、体重や身体活動レベルによって変わります。
食べる方の状態にあわせて、臨機応変に変えることがポイントでしょう。

高齢者施設向け食材ならセンターミールにお任せください。普通食からきざみ食、介護食まで、食べる方の状態にあわせた食事をご提供しております。
高齢者の方の食事量に悩んだ際にご利用いただければ、おいしくて食が進む、栄養満点な食事をお届けいたします。

安くておいしい3食650円~センターミールのサービスについてはこちら >

無料試食
資料請求
電話をかける