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高齢者が十分な水分補給をとるための工夫とコツ

人は年を重ねるにつれて、体内の水分量が徐々に減少していきます。

また、のどの渇きを感じる口渇中枢が減退することから、水分が必要な状態でも自覚しにくく、若い頃よりも脱水症や熱中症になりやすくなります。
本記事では、高齢者が1日に必要な水分量や、水分不足によるリスク、水分補給の方法などを解説していきます。

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高齢者がとるべき水分摂取量の目安

高齢者が1日に必要な水分量は、およそ2,500mlです。
体重70kgの方の場合、運動をしなくても呼吸や汗をかくことで約900mlの水分が体の外へ出ていきます。

また、尿や便などで約1,600mlの水分が出ていきます。身体の水分量のバランスをとるためには、これらの合計2,500mlを取り込まなければいけません。

高齢者が水分不足に陥りやすい理由

 

高齢者は、若い頃の健康状態とは異なり、からだの不調から水分不足になりがちです。

病気の引き金にならないように、水分不足の理由について確認しておきましょう。

理由①体内の水分量が減少するため

高齢になると、食生活の乱れによって食事から水分を摂れなくなっていきます。

そのため、水分不足に陥りがちです。食事が思うようにできない原因として、体調不良や運動不足、咀嚼力の衰えなどがあげられます。
脱水状態は脳梗塞や心筋梗塞の発症にもつながるため、日頃から十分な水分補給を心がけることが重要です。

特に介護が必要な方には、家族や介護者が、水分不足にならないようにサポートすることが大切です。

食事や体内の代謝によって摂取できる水分量は、およそ1,000〜1,500mlといわれています。

1日に3回の食事がきちんと摂れていれば、1日あたりに必要な水分量の半分は補給できます。

それに加えて、コップ1杯(150ml)程度の飲み物を8回に分けて飲めば達成できる計算です。

こまめに分けて、上手に補給しましょう。

理由②喉の渇きを感じにくくなるため

高齢になると、感覚機能が低下してのどの渇きを感知する「口渇中枢」が減退していきます。

からだの機能が低下して水分不足に自覚症状がない方には、家族の方や介護者が、水分補給をこまめにサポートしてあげることが大切です。
また、認知症の症状がある方は、口渇中枢の減退にくわえて水分を摂ったかどうかを忘れてしまいます。

この場合も、周囲の方のサポートが重要です。

理由③尿量が増えるため

糖尿病の方は、尿の量が増える傾向にあります。そのため、トイレの後は水分補給が大切です。

また、利尿作用がある薬を服用している方も、水分不足で脱水状態にならないように気を付けなければいけません。
一方、高齢者の中には、トイレに行くことを面倒に思って、自ら水分を摂らないようにしてしまう方もいらっしゃいます。

特に、夜にトイレに行くために起きないように水分補給を控えていると、脱水症状を招く危険性があります。

高齢者における水分摂取量の不足によって起こるリスク

高齢者がもし、必要な水分補給ができずにそのままでいると、脱水症や熱中症の恐れがあります。

それぞれのリスクについて詳しく見ていきましょう。

脱水症状

脱水症状は、からだに必要な水分量とからだから出る水分量のバランスが崩れて起きる症状です。

高齢者の場合、体内の備蓄水分量が減少するため、特別な病気を持っていなくても脱水症状になりやすくなります。

脱水症の症状は、口の渇きや疲労感、立ちくらみなどがあります。

また、意識障害、微熱、脈の乱れなどが起こりやすくなります。
1日に必要な水分量に対して、夏と冬の水分のとり方や、運動して汗をかいた後の水分補給、トイレの回数、食事の水分量などと総合的に考えて、工夫することが大切です。

熱中症

一般的には、脳が「暑い」と信号をキャッチすると、からだが汗を外に排出する機能が働きます。

高齢になると、この機能が衰えて、体温調節することが難しくなり、その結果熱中症になりやすくなってしまいます。

夏の暑い日はなるべく外出を控えて、室内の温度を適切に保ち、水分補給を忘れずにしましょう。

高齢者の水分補給を促すための工夫

高齢者は、自分だけでは水分補給を自己管理できない場合があります。

家族の方や介護者が1日あたりの摂取量を考慮して、体調や好みに合わせてサポートしましょう。

自分で水分の管理をする場合は、以下のポイントを踏まえて工夫してください。

1日の摂取量の目標と目安を伝える

先述した通り、1日あたりの摂取量の目安は2,500mlです。

飲料水だけで補給することは難しいため、なるべく食事のメニューを工夫すると良いでしょう。
食事や代謝だけで補いきれない量を一度に摂取することは難しいため、こまめに飲むようにすれば、1日に必要な水分を食事+飲料水で賄うことができるようになります。

また、入浴後や運動後などは、特に水分補給に気配りすることを心がけましょう。

【関連記事】高齢者の食事量の目安は?介護食やお粥の量の具体例を解説

水分を摂取したくない理由を考える

高齢者の中には、水分を摂るとトイレが近くなることから、あえて水分補給を控えているという方もいるでしょう。

トイレ介助が必要な方は、特にトイレを敬遠しがちです。

また、高齢になると嚥下機能が低下するため、飲み込む行為を嫌がる方もいます。
なるべく無理のないように、食事の内容や水分補給のタイミングを工夫してみましょう。

本人の好みに合う飲み物を選ぶ

好きな食べ物や飲み物は、積極的に食べたり飲んだりできるため、まずは本人の好きな食べ物・飲み物を選ぶようにしましょう。

気候にあわせて、飲み物の温度を考慮して飲みやすく工夫することもポイントです。

また、飲み物が難しい場合は、果汁で作ったゼリーやヨーグルトなどで補うと水分不足が改善されます。
飲む力が衰えている方には、水分にトロミを加えると喉ごしが良く、水分補給もできるようになります。

 

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【高齢者向け】食事で水分を補う方法

食事の中でも、特に水分を重視して調理するメニュー例は、以下の通りです。

  • おかゆ
  • おじや
  • シチュー
  • カレー
  • 鍋物
  • うどん
  • そば
  • ゼリー
  • ヨーグルト

また、野菜や果物には水分が多く含まれているため、積極的にメニューに加えると良いでしょう。

野菜の中では、きゅうりやトマト、レタス、果物では、イチゴ、スイカが水分を多く含んでいます。
また、水分補給をする際は、冷たすぎたり熱すぎたりしないように常温を保ちましょう。
さらに、食事を楽しむ環境を作ってあげて、ティータイムや外食の時間を設けると、自然な流れで水分を摂りやすくなります。

 

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高齢者の水分補給を周りでサポートしてあげましょう。

 

水分補給は、健康のためにも重要です。小まめに回数を増やして水を飲むことを試してみてください。

本人の自覚症状が無い場合は、周りの方が1日に必要な水分を把握して、トイレや運動、季節ごとの温度調節などを考えて、水分が摂れるようにサポートしましょう。
また、食事から水分が取れるようにスープ系のメニューを多く摂り入れたり、果物から水分補給をしたり、食事のメニューを工夫することもおすすめです。

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